天職の舞台裏

天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

長めの原稿書きを振り返る

2月の半ばに依頼を頂いた原稿を、先日提出しました。仕上がった原稿はちょうど1万字程度になりました。私にしては長めのまとまった文章になりましたので、どのように書いたかを振り返っておこうと思います。

執筆環境と時間を確保する

3月に、こんな記事を書いています。 backstage.senri4000.com

この時点でちょっと反省しました。コンスタントに書ける執筆環境を整えないと、締め切りまで4ヶ月あっても最後の数日で書き上げる羽目になるだろうことが予想できましたので、その後のエントリでも書いたように、平日の朝を執筆に充てることにしました。そして、それを「◯◯原稿の執筆」というタスクにしてTaskumaに入れ、毎日7〜9時のセクションに見積もり時間20分で入れてきました。

Taskuma上でこのタスクの分析をしてみると、以下のようで、(漏れがないとは言い切れませんが)、使った時間の合計が14時間11分、平均時間が26分となっています。期間が92日間、実際に執筆した日数は32日ですね。 そして、週末まとめて執筆と考えないでもなかったのですが、振り返ってみると、ほぼ予定した通りで、平日の始業前の時間を使って書いたことが分かります。

f:id:senri4000:20150613164802j:plain

f:id:senri4000:20150613164751j:plain

テーマを決める

今回の依頼は、あまり細かく主題が決まっておらず、分量にして6千字〜2万字、明るいトーンでお願いします、といった形で、お任せの部分が大きいものでした。論文ではなくエッセイですね。

1万字程度を目指して書こうと思いましたが、これまで、ブログのエントリ以外でこのようなタイプの原稿を書いたことがありません。長めのブログ記事くらいのつもりでいたのですが、そこそこの分量がありますので、テーマが貫かれていないと読み辛いものです。

そこで、まずはテーマというか切り口を決めようとしたのですが、一旦決めて書き出して、読んでみてさっぱりピンとこなくてボツにして、ということを3回くらいやりました。最終的には、いくつかの塊を書いてみて、組み合わせたり、入れ替えたりしていく過程でようやく全体を貫く視点が見つかり、それをテーマにしてタイトルにも反映させました。

構成を立てる

テーマを決める過程で相当量を実際に書いていました。書きながら、ある程度の塊に括りだし、見出しをつけました。見出し間の粒度を調整し、その見出しの下に入る文章の長さのバランスを調整していきました。

このように構成を進めたので、全体の構成を先に作ったわけではなく、ボトムアップで作り出しましたが、全てをボトムアップで書いたわけでもなく、括り出した見出しを見て欠落しているピースを埋める構成を考えて、その下にくる文章を書く、というトップダウンの形で書いた部分もあります。

書いている佳境の頃に、「アウトライン・プロセッシング入門」が出たので、意識的にこうした書き方をするドライブになりました。

書く

1回の執筆時間は30分弱でした。このため、毎回全体を見通して次を書くという方法が取れませんでした(以前、メインブログで長めの記事を書いたときには、毎回頭から読み直してストーリーが通るようにしつつ次の部分を書いていました)。

そこで、とりあえず、全体の関係や、前後の文章の関係は後で見ることに決めて、ひたすら書くことに集中しました。見出しの部分をズームして、その中に入りそうなことを、ひたすら書く。書いたときの言葉遣いが気に入らなかったり、その時書きたいことにピッタリくる言い回しがどうしても浮かばなかったりすることもありましたが、ひとまずそこで唸るのは止めて、その時浮かんだことで間に合わせてひたすら書き出すことを心がけました。

このようにして、書き出しから始めて、メインの部分は概ね書くことができました。

結論を書く

テーマを設定したからには、結論が必要です。この文章全体を通して私は何が言いたいのか。そのために建てたストーリーはどういうものなのか。

よくよく考えてみると、これまで書いてきたブログのエントリでは、結論めいたことを書かずに終わっているものが大半です。「まとめ」というのが実はあまり好きではないので(読んでいて重複感が強く、新しい獲得感がないのでなんだか読む時間を損した気分になるのです。貧乏性なのでしょうか。)、自分ではあまり書かないようにしていたこともあります。

とはいえ、今回そういうわけにはいきません。また、要約を冒頭につけることも要求されていましたので、単純に末尾にまとめだけ書くわけにもいきません。それなりに、全体のテーマをおさらいして概念化して抽出したものを提示する必要があると思いました。

これがとても難しかったです。一体自分は結論として何が言いたいのかと何度も考えました。そして、言いたいことをサポートする記載が本文中にちゃんと入っているのだろうか、逆に言えば、本文から読み取れる言いたいことは一貫しているのか、そう読み取れるのか、と自問しました。

かなり苦闘しましたし、本当に目指したことが書けているのかは自分では評価が難しいですが、現時点で自分で考えられるベストを結論に持ってきたと思います。

結論に見合うように本文を整える

結論を決めてから、再度、本文の各パートが十分に書けているか、視点がずれていないかを見直して、部分部分に手を入れました。

この段階では、まだ全体を読み直すことまではしておらず、各パートごとにズームして考えを展開するようにしていました。ときには発散させつつ、そのパートの中で収束したりしていました。

全体を読み、整える

ここまでの作業は、ずっとWorkFlowyの上で、iPad miniのアプリから行っていました。

一通り書けた段階で(要約はまだです)、マロ。さんのWordテンプレートを使って、Wordにエクスポートし、スタイルを実際の紙面に近い形に整えて、印刷しました。読んだときの印象を見たかったのです。

note.mu

ここで始めて、パート間の流れを見ていきました。合わせて、文章の運びや言葉の選び方に修正を入れました。最初は印刷したものに赤入れしていたのですが、煩雑になってきたので、WorkFlowyに戻って直接手を入れるようにしました。

要約を作る

結局、2万字近く書いたものを絞り込んで1万字程度にしたのですが、要約を作るのが存外難しくて閉口しました。何度書いてもリードのようになってしまい、「はじめに」部分と重なってしまうのです。どういう加減なんでしょうね。

1万字に対して400字の要約というのが長いのかもしれませんが、比較的しっかり要約というのも変ですが、各パートからトピックを抜き出して持ってきても大丈夫そうでした。

ターゲット読者に読んでもらう

要約も入れて、再び印刷し、読み直して何度か推敲し、自分でこれ以上は修正できないというところまで来ましたので、ターゲット読者と思われる会社の人に読んでもらいました。

特に分かりにくいところはなく、楽しめました、という感想を2人からもらったので、自分としては合格点をつけて完成としました。

指定の様式に整える

依頼側からの指定の様式がありましたので、Wordのスタイルをそれに合わせて修正しました。印刷入稿用のベタな様式になっていますので、この様式で最初から書いていたら読むのも書くのもやりにくかっただろうと思います。

今回は、マロ。さんのテンプレートでWordにアウトラインつきで出力したので、レベルとスタイルを連動させており、スタイルの修正で対応できたので、大変楽でした。

電子メールで原稿を送り、現在査読の結果を待っているところです。

おわりに

このくらいの長さの文章は、仕事の報告書などでは書いています。そうしたものは、テーマは決まっていて、説得力とかの関係で提示の方法や切り口を考えたり、ストーリーを立てたりすることはありますが、テーマ自体を考えなければならないということはまずありません。書くより先に報告すべきテーマがあるので、書かなくてはならなくなるという流れです。

今回は、切り口やストーリーを考えると同時にテーマを設定する必要がありましたので、長さの割に苦労したのだろうと思います。書き出す前に、一人ブレストするなど、もう少し他の方法も試してみるとよかったのかもしれません。

なお、この原稿を書くのに使った時間の合計は、上に書いたように14時間程度とわかっているのですが、その中身、上記のように分けられるのですが、それぞれにどのくらいの時間がかかっていたのかは、記録がなくてわかりません。どこまで進めたかもちゃんと記録しておけばよかったと思います。同じようなことをまたするかどうかは分かりませんが、記録があれば、そうしたときの見通しの立て方は随分違ってくると思います。

ところで、結城先生の、数学文章作法を以前に読んでいましたが、今回の原稿に当たって再読することまでできませんでした。改めて読み直してみたいと思っています。

数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)

数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)

数学文章作法 推敲編 (ちくま学芸文庫)

数学文章作法 推敲編 (ちくま学芸文庫)