天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

本を買う環境について

今週のWRMのQは、以下のようなものでした。

Q.どこで「本」を買われますか? 以前と比べて本の買い方、買う本の種類が変わったようなことはありますか?

直接の答えとは別に、カナダに住んでいたときのことを思い出したので書いてみます。

もう20年近く前になりますが、90年代の後半~2001年にかけて、モントリオールに住んでいました。冬は厳しかったですが、その分夏が素晴らしく、たいそう生活を楽しみました。

とはいえ、日本のものには大変不自由しました。ニューヨークのような大都市で日本人が多ければともかく、海外で日本の食材・本・テレビ番組は中々手に入りませんでした。日本料理店が数軒、日本食材の店が1軒。日本の本やテレビ番組・ビデオは現地では手に入りませんので、日本の実家から送ってもらっていました。

さて、日本のものでなければ、テレビはもちろん視聴できます。本も同じように、英語で読むと決めれば同じように買って読めるだろうと根拠なく思っていたのですが、そうはいきませんでした。

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まず、日本と比べて圧倒的に本屋が少ない。大きなショッピングモールに行けば、書店があるにはあるのですが、日本のイメージからするとどうにも規模が小さいですし、置いてある本の種類も豊富とは言えない。ハードカバーは高い。そしてあのペーパーバックというものの紙質と言ったら、、、。日本の文庫本は世界一です。

雑誌もあまり置いてなくてつまらないと思いましたが、住んでいるうちに、雑誌は定期購読が基本ということがわかりました。定期購読の割引率が半端ないですし。

そして、これはモントリオール特有の事情ですが、英語の本とフランス語の本が両方置いてあるので、英語・フランス語それぞれの置ける本の総量はさらに少なくなるのでした。

どうやら、本屋に山のように本が置いてあり、それをつらつら眺めて好きな本を買うという幸せは、言語の点を差し引いても、彼の地では望むのは難しいようでした。それでも、本屋好きとしては、やっぱり週に何度も出かけましたし、買ってもみたのですけれど。

改めて調べてみると、Amazon.comが正式サービスを開始したのが1995年。Amazon.co.jpは、2000年の11月です。海外にも配送してくれるようになったのは少し後だった気がします。Amazon.co.jpよりも少しサービス開始が早かったbk1にアカウントを作って、日本から本が直接届くようになってもの凄く嬉しかった覚えがあります。

2001年の晩秋に帰国しましたが、一番嬉しかったのは、日本語の本を潤沢に買って読める環境に戻ってきたことでした。日本食は、自分で作ればなんとかなりますが、本を手に入れるのは大変だったのです。

そんな環境も、今ではずいぶん変わっているだろうなと思います。Amazon.comがKindleを始め、まだAmazon.co.jpでは始まっていなかった頃にAmazon.comのアカウントでKindle本を読み始めましたが、その昔、海外から洋書を取り寄せていた頃と比べて隔世の感と思ったものでした。裏返しで、今では海外にいながら日本のKindle本を読むことができるわけですし、Amazon.co.jpで紙の本も手軽に買うことができます(配達までの時間はかかりますが)。そういう意味では、海外在住者の日本語の本が恋しい思いは昔と比べて軽減しているのでしょう。

そして、日本に住んでいる私の現在の本の買い方も、変化しています。スペースの関係で電子書籍で買うのが第一になり、読みたい本の積ん読プレッシャーで、さらに在庫が増えそうな本屋散策自体を控えるようになりました。目的の本が決まっているのなら、書店に行くよりAmazon購入が楽で早い。現物を見たいときだけリアルの書店に行きますが、そうしたときも、在庫の検索が自分でできる一部の書店にしてしまいます。