天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

ロケットスタート

中島聡さんの、「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である」を読みました。

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完成までの時間を見積もるために実際に作ってしまう

著者は、仕事をする上で最も大切だと考えているのは「常に締切りを守れるような仕事をすること」と言われます。そして、その方法として、

  1. 仕事が決まったら、指定された納期までの期間の初めの2割(10日間なら2日)を「ロケットスタート期間」として使い、その間に猛烈に仕事をして「ほぼ完成」(8割方)まで持っていく

  2. 8割方できたら、指定期間内でやれると約束し、残りの期間を使って2割の「完成まで持っていく仕事」をゆったり行う

  3. もし 「ロケットスタート期間」内に8割方まで完成できなかったなら、納期の延長を交渉する

とされています。仕事の最初の段階では見積すら不可能なタスクも多くある(=どんな仕事でも、やってみないと分からない部分が必ずある)。そういったものをこれまでの経験を元にざっくりと見積もるのはとても危険、との指摘があり、ロケットスタートで全力で作業を進めるのは、仕事の真の難易度を測定するためなのです。

「見積もるには、とにかくやってみることだ」ということですね。

そして、そのロケットスタートの猛烈ぶりたるやすさまじく、不本意に時間を取られかねない(=認知資源を使うような)、メールのチェックやSNS、仕事の合間に何気なくやってしまうコーヒーを入れたり同僚とお喋りをしたり、といったことも一切やらない、現実の世界から去った仙人のようになっている、とか。

ただこのやりかたをそのまま使うには、並行して複数の仕事を抱えていない人でないと難しいため、複数の仕事を並行して行う場合には、1日を例えば横に3つに切って、複数の仕事の1つ1つをその単位に当てる方法が提案されています。

集中してやってみた

本書を読んだとき、「ああ、これ、やっていいんだ」と思いました。というのも、大きな仕事って、見積もるのが難しく、項目を出してみたりしてなんとか想定しようとするのですが、実際に取りかかってみると当初に考えていたことと方向性が変わってしまったりして、想定見積が全然合わなくなることがよくあるのです。

かといって、やってみないと分からないからといって見積ゼロで出たとこ勝負で仕事を開始するというのも怖い。第一、見通しが立っていないので、普通のモードで仕事をしていて、一定時間が経って次の仕事に移ったり休憩したりすると、どこまで進んだのか、現在全体のうちのどのあたりに位置するのかがさっぱり分からない。これを防ごうと思ってプロジェクトノートをつけようとなんども試みたのですが、まいど失敗に終わって現在に至っています。

ということで、実際いま抱えている大きめの企画系の仕事をロケットスタートでやってみることにしました。

細かい報告・相談・承認事項が間断なくやってくるので、まずはこれを「オフィスアワー」のように、夕方の1時間に固定して、共有カレンダーに登録し、部下のみなさんにアナウンスしました。

会議の予定も入っていたりするので、1日の全てを使うのは難しいため、ひとまず予定の入っていない時間帯を当てることに決め、メールの通知を切り、決めた時間内は、お茶も入れずにトイレにも行かずにひたすらその仕事を仕上げていくことに専心。

幸い、他のメンバーがいる島から離れた席になっていますし、実務系の担当量が減っているため、電話もあまりかかってきません。調べて読んで調べて書いて推敲してを繰り返し、かなり目処が立ってきました。自分では解決できない疑問も出てきたので、社内の詳しい方に質問を投げ、説明を受けに出向くことにして、本日のロケットスタート時間は終了。

都合7時間くらいかけたでしょうか。成果物のアウトラインも大枠が書けたので、あと7時間~10時間くらい同じように集中する時間を取って詳細を詰めれば8割完成に行くように思います。問題は、明日は出張でまったく時間が取れず、そのまま週末に突入してしまうことですが、おそらくこの感じだと来週になっても相対位置がわからなくはならないと思いますので、行けるのではないかと踏んでいます。

界王拳?

本書の著者は、このロケットスタート期間での集中して猛烈に仕事をするイメージをドラゴンボールの20倍界王拳のイメージだとされているのですが、ドラゴンボールを全く読んだことがない私には残念ながらさっぱり見当がつきません。

幸いなことに、この手の仕事で集中力を上げるのにあまり苦労はなく、没頭していたのですが、ずっと固定姿勢で座ったままPCに向かったり書類を読んだりしていたため、身体が強張って特にお尻が痛くなったのには参りました。1時間に1回は立ち上がろうというスタンドランドの趣旨には合いませんね(苦笑)。

そうしたことも含め、全てを集中して仕事に向け、認知資源も身体の動きも他のことに一切向けないと割り切ってしまうと、流して仕事をしているときの何倍も捗るということが実感できました。驚き。

この手の仕事って、上記のように見積が難しくて、当初想定していた時期に出来上がらず、ずるずる納期を延ばした挙げ句、完成しないでうやむやにしてしまったことが何度もあるのですが(懺悔)、こうやってロケットスタートしたらちゃんと納期までに完成するのかもしれない。これって自分にあってるのでは?と期待したここ数日でした。

著者が推奨されるように、複数へ移行している仕事をどんどんこの方法で片づけて、理想的には大きな仕事は1つだけの状態を作って行きたいものです。