天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

法務で五ヶ月

2014年の7月にレポートラインとして法務部門を直下に置きました。中途採用を精力的に行って、9/16にベテランを、11/1に中堅を迎えることができ、ようやく体制が整いつつあります。

立場としては、現場の実務担当を直属とする第一線の管理職である(兼ねている)ため、本来はレポートを受けるだけでなく、自ら実務ができる必要があります。部下の行ったことに不足があったり誤りがあったときには自ら行動して正すことが望ましい。

とはいえ、土地勘のないところで自分が出張って実務をするところまで持っていくのは無理があります。相談に来られても、何を基準に判断していいのか、どこに目配りしておくべきなのかよくわからないので即答できない。契約審査にしても同様で、問題になりやすい箇所がどこか、取引との関係で言えばどうなのか、など、勘所が分からないとさっぱりです。隣席で新人がそれなりに回答をしたためているのを見て内心「なんでできるんだろう?」と思ったこともしばしば。

よく考えてみれば、経験が長い知財にしたところですべての分野について自ら実務ができるわけではありません。意匠の類否判断をして出願の方向を定めるとか他社の製品や意匠と比べて権利行使の可能性を考えるとかはできますが、調査自体を行ったり、出願実務を一からするのは難しい。特許の調査結果を読んだり評価したりすることはできますが、調査自体を組み立てていくのもおそらく難しい。発明発掘を、開発部門に貼り付いてやっていこうとすれば、それなりに開発の中身がわからないと辛いので、2年くらい修行しないと無理だろうな。

これらは、実務をしてくれる人を介していれば、報告内容に不足があれば追及して補うように仕向けることができますが、自らそれを正すのは難しい、ということです。知財の場合、自らそれを求められる局面がほぼないですし、一から私がその修行をしていては効率が悪すぎるので、今後も機会は巡ってこないでしょう。ということは、引退するまでずっとこのまま行くことが予想されます。

たとえ知財であっても、相談の内容によっては即答できないんですね。そりゃ始めたばかりの法務についてはできなくて当然か。

不足があるかどうか、結果が適切であるかどうかについて判断できる程度まで土地勘をつけていくことを目指すべき、ということになりましょうか。

右往左往の3ヶ月を経て、入社されたばかりで当社の状況に面食らっているお二方をさらに質問攻めにして、土地勘の促成栽培に励んでいる現在なのでした。さて、聞かれて持ち帰らずにその場でそれなりの回答ができるようになるにはどのくらいの期間がかかるのでしょうか。