天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

通称使用?

とある宴席にて、某外部活動で3年越しのお付き合いのある方から、

本名ってなに?

と聞かれ、おおこのノリの質問って久しぶりだ~(これまであまり詳細に説明しなかったかしら??)と思ったのだった。何かの機会に、夫の話になり、苗字が違うということは話した気がするので、どうやらそこから、「仕事上は旧姓を使い続けている」と思われたよう。近年は、結婚しても会社ではそのままという方が多いし、弁理士でもそのような仕組みは整っている。夫婦別姓実践者の大半はこれだろう。

冒頭の質問に対しては、

いや、本名も何もこれだから。事実婚なんで。

と答えたのだが、「事実婚」が通じなくて(場所がカラオケボックスだったので単に聞こえなかっただけかもしれない)、

婚姻届出してないから。

と繰り返して驚かれ、

それって、面倒じゃない?

と言われたのだった。その場ではあまりまじめに答えなかったのだけど、改めて思うに、面倒かどうかは、別姓にしている理由によるのだろう。 別姓実践者の実践理由の大きなものとしては、

仕事上で結婚改姓すると、結婚した事実(=プライベートなこと)をオープンにすることになるし、これまで旧姓で積み上げてきた実績がゼロになってしまうから好ましくない

という考え方がある。他方、

結婚と改姓が結びついていること自体に納得がいかない。自分の姓は自分のもので、自分のアイデンティティの一部。好きな人と結婚したからと言って、相手の姓にするかどうかは話が別。

という考え方の人もいる。(私はこちら)

前者の場合、仕事上で旧姓が継続使用できればよく、仕事上の世界=旧姓の世界で完結する。プライベートでは、戸籍姓を名乗って使っていく。銀行など、『氏名変更届』も提出する。作家のペンネームとか芸能人の芸名に近いかな。

後者の場合、自分の姓は一つ、という認識になるので、婚姻で改姓をしたとしても、自ら戸籍姓を名乗ることはしないし、便宜的に改姓しているだけなので、『氏名変更届』など出さずにそのまま行ける所まで行こう、という感じになる。とはいえ、『本名』発言にあるように、戸籍姓が正式なものとされるので、かなり慎重に取り扱わないと、あらゆる局面で婚姻姓が侵食してくる。

ということで、後者の場合、通称使用だと、油断すると浸食してくる戸籍姓との戦い?を常に強いられるので、「面倒かどうか」については、よっぽど通称使用の方が面倒なのである。事実婚であれば、そもそも「本名」たる戸籍姓がないので、浸食されようがないから、簡単。悩みはない。

一方で、事実婚での面倒さは、お金の絡みが多くて、ざっと思いつくところは以下のような感じ。家を買うこともなく、共働きでそれぞれに収入があると、これらも特に不便ということもない。ただ、遺言はちゃんと整備しておいた方がよさそうではある。

  • 配偶者控除が受けられない

  • 家族手当がもらえないことがある

  • クレジットカードで家族カードが作れない

  • 生命保険の受取人になれないことが多い

  • 法定相続人になれない

  • 子どもの共同親権者になれない(片親のみ)

日常生活を送る上では特に面倒なことはなく、郵便物の関係で表札に名字を2つ並べておく必要がある程度か(2世帯住宅などでそういうケースも多いのであまり違和感もない)。親子で姓が異なると、学校関係で面倒ではないか、という問いもFAQなのだが、特にそういうこともない。質問をされたこともほとんどないような。

もっとも大きな「面倒」は、肉親に感情的に反対される場合。結婚したというのに仕事上ならともかくプライベートで旧姓を使い続けるなんてとんでもない、と思われると、なかなか手強い。どちらかが折れないと、こじれて絶縁状態になることも。

私にとっては、(過去には色々あったけど)現在の実感としては、「特に面倒なことはない」、というのがの答えなのだった。