Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)が、2015年2月8日付で、Patent Policyを改訂したとの告知が出ています。
http://www.ieee.org/about/news/2015/8_february_2015.html?WT.mc_id=std_8feb
標準必須特許(Standard Essential Patent: SEP)は、一昨年あたりからグローバルでホットなトピックになっており、日本でもApple対Samsungの大合議判決がありました。米国では、既に複数の判決が(高裁レベルも含めて)出ています。
ここでは、SEPに差止請求権が認められるのか、SEPのライセンス条件として要請される(F)RAND((fair), reasonable, and non discriminatory)とは何か、などが議論され、このような論点に対して、標準規格団体(Standard Setting Organization: SOO)は、もっと明確なポリシーを制定すべきではないのか、という声もありました。
2年越しの議論を経て採択されたという上記のIEEEの改訂は、このような声に応える試みと言えるのでしょう。賛否両論が激しかったことから、競争法上の問題がないかどうかについて、司法省(Department of Justice: DOJ)のコメントも求めており、司法省からは、これに応じてBusiness Review Letterが2月2日付で出され、競争を害する効果は認められないとされています。
改訂事項で注目を集めているのは、
必須特許の特許権者は差止請求を行わないことを基本とする点(詳細には、いくつか留保がついていますので、上記のIEEEサイトから原文を参照ください。)
合理的なロイヤルティのベースに、最小販売単位(smallest salable component)を導入したこと
などでしょうか。上述した判決の傾向が特許権者側よりも標準規格の利用者側寄りになっていることを反映してか、全体的に利用者寄りであるという評価がされているようですし、実際読んでもそのように見えます。
いずれにしても、注目されており、解説記事もいくつも出ています。
▼ IEEE Amends its Patent (FRAND) Policy | Patently-O 肯定的な紹介記事ですね。
▼ Essential Patent Blogでは、採択前からエントリがあり、批判的な立場のようです。
▼ もっと激しく批判しているのはこちら