4月は佳境(今年は5月が修羅場)、などと書いてきました。
しかしこれって、これまで10年積み重ねのある株主総会運営統括業務の中での話でして、その中では4月は招集通知の作成が山場であるという意味なんですね。株主総会的には、5月に入ればだいぶ落ち着きます。開示書類である招集通知が確定し、本番準備に入っていくので事務作業的な重みは減るのです。
しかし。今年は初めて有価証券報告書の作成〜提出までの責任部門が法務になります。10年前に総会業務を引き継いだときもそうでしたが、いくら引き継ぎ前の担当に何を言われたところで実際に実務を完遂してみないと手応えも大変さも確信を持って理解できないのです。
印刷会社(プロネクサス)による開示支援
招集通知にしろ、有価証券報告書にしろ、その作成には「印刷会社」の支援が欠かせません。証券印刷業(有価証券報告書の印刷)から始まって、今や総合決算開示支援業となっている2社、プロネクサスと宝印刷。証券代行に輪をかけた寡占状態です。
当社はプロネクサスにお世話になっていますが、招集通知であれば、原稿作成から紙面招集通知を印刷して証券代行へ納品まで、電子提供措置が始まったことによりアウトプットが複数種類になり、WEB開示も増えたり、電子提供措置のサーバ自体も提供するに至ったり。作成の手引きも充実していますし、営業さんだけじゃなくて決算期はテクニカルサポートも担当をつけてくれるし、至れり尽くせり。
有価証券報告書(金融商品取引法による開示)側は、電子開示(EDINET)が徹底していますので、印刷関係は傍流になっており、原稿作成とXBRLタグ対応がメイン支援。手引きの充実やテクニカルサポート対応は招集通知と同様です。ていうか、会社の沿革的には会社法開示よりもこっちが本流なのでしょう。
そのサポートの大きなものとして、「ディスクロージャー相談部チェック」があります。一通り作成した原稿を確認して、内容面・形式面・XBRLタグの適否などをしっかり見てくれて、指摘や提案助言をしてくれるもの。招集通知では、これだけでなく弁護士や証券代行にも原稿チェックを依頼していますが、有価証券報告書ではメインチェッカーは監査法人ですね。
招集通知にしろ有報にしろ、法定されている発送・提出期限がありますから、それに合わせて原稿作成のスケジュールを組んでいきます。特に期限管理が厳しいのは実際に紙面印刷をして法定期限を遵守して発送しなければならない招集通知の方ですが、有報だって期末から3ヶ月以内という提出期限が法定されていますし、最近は総会前開示が喧しいです。
このため、そのスケジュールに乗るように、相談部チェックの日程は、決算開始前の段階でプロネクサスと調整し、決定しておきます。
原稿作成スケジュールの立て方
これまで、招集通知では、全体の読合せの前に一通りの外部チェックを終わらせ、そこでの指摘から修正したものを完成版に近い原稿として読合せに持ち込むようにしてきました。何しろGWがありますので、日程がキツめなのが毎年ですが、決算短信の読合せがある4/25前後に相談部チェック・弁護士チェック・証券代行チェックを依頼するのが例年です。
今年は、4/24金に相談部チェックを依頼し、28日に戻してもらうスケジュールで、29日祝日を挟んで30日と1日に全体読合せです。修正間に合っていないところも多くありつつ。。招集通知は画像や図表も多い関係で手元で編集ができずプロネクサスに編集権を渡して作成修正が必ず発生するため、その期日調整もあって全体読合せには大抵図の関係が間に合いません。
一方、有価証券報告書のスケジュールでは、従来経理が仕切っていたこともあって、決算・税務の後に有報対応が来るため、有方の監査が始まる前に相談部チェックの日程を入れてはいるものの、原稿作成が間に合っていなくて依頼するということが頻繁にあったと聞いています。チェック結果自体見たこともないので聞いた限りであり、「なんてもったいない・・・」と思っていただけですけど。
所管を移して初めての今年は、有報の原稿作成スケジュールをなんとか招集通知と並行できないか検討したのですが、メインの根拠データ提供者である経理部が上記のように決算と税務対応で会社法計算書類が終わってもあまり手が空かないから5月半ばすぎまで数値の提供が無理、と言われたこと、また、招集通知作成側との兼ね合いがどの程度負荷になるのか見切れないことにより、一旦前年並みやや前倒しでスケジュールを組み、相談部チェックは5/22金に依頼、5/28戻り予定で設定しました。
有報についても、招集通知同様に、相談部チェックの戻りを反映して原稿を修正し、全体読合せに持ち込む目論見で、全体読合せは6月2日・3日。2日で足りるのか?と内心思っていますが(昨年3回やったような気がして)、設定実務はお任せしているので今更口を出さずにおります。
一応このくらいに全体読合せまでやって修正をかければ、監査法人の有報監査に間に合うはず。例年作成しながら監査のような体たらくで、それは監査と言えるんでしょうか、だったりするので、そこはせめてなんとかしたい。しかし経理の状況の責任部門は変わらず経理なので(当然)、そっちの進捗はよく知りませんけどね。
相談部チェックに出す原稿の仕上げ
全体読合せの前の外部チェック用の原稿です。そういう意味では一次原稿なわけですが、せっかく外部専門家のチェックをしてもらうのですから、それなりの精度に仕上げておかないと初歩的な指摘ばかり並ぶことになってしまい、もったいない。
ということで、部門内読合せをかけて、内部で潰せる論点は潰して、それなりの出来栄えに仕立ててから出したい。ということで、アジャイル型の部門内読合せのピークが相談部チェックの直前になります。
ていうか、全体スケジュールからして根拠データの入手から原稿の入力と相談部チェックの間に2週間も取れないことが多いので、どうしても直前週はひたすら読合せして修正して回すことになってしまう気がします。招集通知についても昨年まではもう少し部門内読合せを4月の初旬からやっていたような気がするんですが、今年は原稿の入力が遅れたのか集中していたように思います。この予定が直前設定になっていて、入力が出来次第読合せする形だったのだけど、それでよかったのか、もう少し前に倒すべきだったのか、は今年全体が終了してからの総括反省になりそうです。
例年通り、招集通知はGW直前の入力修正ラッシュでヒーヒー言っていましたが、5月の読合せを経て(その後の修正もそれなりにありましたが)落ち着き、そこからはひたすら有報の原稿入力に移行しました。メンバー同じなので、皆さんがそんな状態。
総会と有報でメンバー変えた方がいいのかどうかというのも検討はしましたが、両者で開示事項が重なっているものも多く、整合取る必要もあり、両方同じメンバーの方が効率良いだろうという結論になってこのやり方になっています。この間担当以外の法務メンバーで通常の契約・相談業務は回していて繁忙期シフトを組んでいます。
ということで、今週は、ひたすら有報の週(原稿入力と読合せ、指摘からの修正と再度の読合せ・報告)。とはいえ火曜日は株主総会招集取締役会で招集通知は翌日校了もしているのでそちらの仕事もありました。

同じ時間、違う品質
上に載せた画像は、招集通知と有報作成の部門内読合せ時間を書き出した私のメモです。有報の方がすごい多かったイメージを持っていたのですが、書き出してみると合計時間としては似たり寄ったりで大した差はありませんでした。(招集通知8.5h、有報9h)
とはいえ、今週の有報原稿作成状況を振り返ると、まだ入力ができていません、というところも随所に見られたり、手引きや他社例を十分に当たれておらず、いったん原稿の形にした状態です、というものも多くあり、特に昨日はやってもやっても終わらなくて予定していた2時間どころじゃなく夕方にもつれ込んで残業になりました。読合せの後って指摘されたところを調べたり修正したりする作業が発生するのですが、それもその日のうちに回していたのでみなさん盛大に21時過ぎまで残業してこなしていました(だって翌日相談部チェック依頼日ですし。。)。
この日がそうなったのは、私のせいも多少あります。水曜日が母の通院付き添い日でお休みする必要があり、この日に読合せ予定を入れられなかったのが響きました。有報作成の初年度で、これまで関わっていないみなさんで分担して入力している状況の本年、私だけは昨年までも作成や読合せに数年関わってきた関係で、読合せにおいて指摘をしているのは大半が私です。ですから私抜きで進めてもらうのが難しい事情があります。
有価証券報告書は、事業報告と共通している項目もありますが、深く広くなっているものが多く、全く独自のものも多くあり(だから総会前に開示しろと言われるわけですよ)、これまで招集通知を担当してきたメンバーからすると馴染みのない事項も多い。前年踏襲だけでは正しいのかどうか確信が持てないため、根拠法令にあたり、手引きにあたり、他社例に当たる。これらは招集通知でもやっていることですが、慣れていない分手間取りますし、確信が持てない。
昨日の読合せが終わった段階で、部門長の「もう少しなんとかならなかったものかと思いました。。」というつぶやきが目に入りましたが、まあ1週目は仕方がないよね、と思います。来年以降どうしようか、はみっちり考える必要がありますが、おそらくは、自部門でできるところをもっと相当前に倒して並行してやっていかないと厳しいだろうな、と想像しています。並行しないと難しいよ、きついよ、とは計画立てる時にも言ったのですが、色々な要素を考えていったん昨年並みでスケジューリングする、と決めたわけなので、そこは「やっぱりきつかった。来年はもう少しなんとかしたい」と受け入れるしかありませんね。
あとは、戻ってきたチェック結果がどの程度のものになるのか、でしょうか。修正すべきところが多いとなかなか対応は大変です。レイアウトが関係ない分招集通知より楽だろうとは思うんですけどね。そして経理の方はどうかな、というのも気になります。注記も大変多いですからね、有報。
ということで、佳境も修羅場も繁忙期も続きます。