天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

議決権行使状況の確認

株主総会の招集通知の電子提供措置が開始されると、また、誌面の招集通知が株主の手元に届く頃から、議決権の行使が開始されます。

証券代行(株主名簿管理人)で集計し、毎日レポートが上がってきます。また、議決権行使プラットフォームからも実質株主の行使状況を見ることができます。

ということはこの10年間承知はしていたものの(議決権行使プラットフォームは採用してまだ数年ですが)、あまり行使状況の確認をすることに正直ピンときていませんでした。なにしろオーナー系で創業家の2代目が当代社長だったりするのです。資産管理会社や創業一族での持株比率はまだまだ高く、安定多数を形成しており、票読みが必要になる事態になったりしないものですから。

とはいえ、コーポレートガバナンス・コードの制定から10年、機関投資家からの要求はどんどん厳しくなっています。議決権行使助言会社の基準も、個別の機関投資家の行使基準も厳格化が著しい。

昨年までは、資産管理会社が親会社等に該当しており、そのためにこうした基準上も「支配株主が存在する会社」に分類されるため、独立社外取締役の割合など、「満たさない場合、経営トップに反対」にヒットして社長の賛成率が80%を切っておりました。それでも否決される心配はなかったので放置してきたように思います。あまり外形基準だけ合わせに行っても仕方がないよね、ということもありました。

議決権行使助言会社のレポートは入手して、賛成・反対推奨の理由などは事前に取締役会で報告してはおり、だいたいそれに沿った行使行動によってこのような結果になったんだろうな?などと推測はしておりましたが、まあその程度であったかと。

先日来読み進めている、「株主と対話する企業(第2版)」の第5章は議決権行使助言会社を取り上げており、会社としてはどのような距離感を持っておけばよいのかが述べられており、知らなかったことも多く、参考になりました。たとえば、助言会社の推奨を利用するのが基本的に海外機関投資家であり、国内機関投資家は自社独自の議決権行使ガイドラインを定めているケースが大半であること、したがって自社の株主構成に占める外国法人等の割合が助言会社の影響度を左右する、と書かれており、言われてみればその通りなのですがあまり意識したことがありませんでした。そして、当社の大株主リストには海外法人がそれなりに並んでいるため、そこそこの影響力があったのだな、と腑に落ちました。

そして、今年から株式事務が所管に入ったところ、証券代行提供のシステムから株主ごとの議決権行使状況を閲覧することができると判明しました。これまでレポートだけを見ていたので個別の株主の行使行動がさっぱりピンときてなかったのですが、ちゃんと見に行けば解像度高く知ることができたんですね。レポート上「不統一行使」とされている株主についても、不統一行使の状況も詳細に見ることができました。

直前期は担当者が何かと忙殺されるため、あまり普段と異なる業務を増やすのも憚られ、大株主の一部の確認に留めたのですが、総会が終わってから反対票の分析をしてみるのが良さそうに考えています。来年以降の招集通知の書き方に工夫ができるかもしれないし、対話を試みることもできるかもしれません。対話まで行かなくても、会社の考え方を適時開示などで示していくことができるかもしれません。

今までぼんやりしていた景色がくっきりしてきたような思いがして少しワクワクです。数年間通り一遍になってきた気がしている総会終了後の総括に厚みを加えることもできるかも。