天職の舞台裏

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

私的別姓ばなし その2|結婚に際して姓について考える

別姓を提案する

20余年の昔、結婚することを決めて夫になる人と諸々打ち合わせをしておりました。どういう場面だったかあまり覚えていないのですが、その中で、当時の自分としては結構思い切って、結婚してからも今の姓を使い続けたいということを伝えました。

f:id:senri4000:20151107224157j:plain

彼の反応は、「分かった。で、どのくらい、どうやってするつもり?」でした。当時はまだ周囲に別姓を実践している人はほとんど見かけなくて、言い出してみたものの、難色を示されるだろうと漠然と思っていたので、そこまで具体的に考えていなくて逆に戸惑いました。

彼の言うことには、「こういうことはちゃんと考えて行動しないとうまくいかないと思う。」と。確かにそうでしょう、と今の私は思いますが、この当時、まだ若くて考えなしだった私は、何事も突き詰めて考えるという習慣がなくて、そう言われてようやく色々調べて考え始めたのでした。

やりかたを調べる

別姓実践者が周りにはほとんど見当たりませんでしたし、当時はまだインターネット普及前で、ネット上の情報というのは存在しませんでしたが、書籍としては何冊か出ていました。全部処分してしまって手元に残っていないのですが、一番参考にさせてもらったのは、以前の記事でも紹介したこちらの書籍です。著者の一人である福島瑞穂氏は、社民党の前党首ですね。古くから別姓実践者として著名な方でした。

楽しくやろう夫婦別姓―これからの結婚必携

楽しくやろう夫婦別姓―これからの結婚必携

  • 作者: 福島瑞穂,福沢恵子,榊原富士子
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 1989/10
  • メディア: 単行本
  • 購入: 1人 クリック: 1回
  • この商品を含むブログを見る

書籍を読んでいると、別姓にしたい理由にはいくつかのタイプがあり、結果は変わらなくても、考え方としては全然違うものを含んでいるようでした。結婚制度や戸籍制度に対して反対の立場に立つものがある一方で、一人っ子で墓を守るために姓を途絶えさせられないというものもある、ということです。

なぜ改姓したくないのか

私自身は、漠然と、「結婚するからといって漏れなく改姓が付いてくるというのは納得感がない」と考えていたものの、それが戸籍制度に反対とかいうほどの強い主張ではなく、もっと個人的な、素朴な疑問・感情であったと思います。ただ、「嫁」扱いとか「家に入る」といった旧来の結婚観には反対の立場ではありますので、改姓によってそうしたものを引き寄せがちであるという気持ち悪さはあったと思います。

要するに、「すっきり納得がいかないので、やらない」という、私にとっては単純明快な話でした。

もちろん、当時も仕事はしていましたし、仕事上で使っている姓を変更することによる不便や不利益ということもあったのですが、なにしろまだ新卒で入社して4年目です。自分の名前で論文を書いているわけでなし、率直に言って、仕事上で姓を変えることの不利益は大したことはなかったと思います。

どの程度実現できればOKか

このような、実際的な理由というより根源的な理由で別姓を実践しようと思うと、ここまでできればOKという現実路線があまり選択肢に入ってきません。仕事上は旧姓、私生活では新姓という形では意味がない、ということです。

すると、「どのくらい」という問いに対しては、「徹底的に」という回答になります。「どうやって」に対しては、もっとも明快なのは、「婚姻届を出さずに事実婚にする」となるでしょう。

家族の理解を得るのが難しい

ここまで、夫となる人(現在の夫なので、この先「夫」に統一します)とは簡単に合意が取れたのですが、種々の書籍に書かれていたように、事実婚方式を取る場合には、周囲、特に家族の理解を得るのが相当困難です。仕事上の不便というのは実際的な理由なので理解がしやすいようなのですが、素朴な感覚とか価値観になると、「なぜ皆がしているのにできないのだ」という同調圧力が強くかかって難しい。

よくある、結婚を前提にした両親の顔合わせ会というのをやりまして、その際に、当時の自分達としてはできるだけ分かってもらおうと話をしたのですが、これがもう、笑えるくらい全然話が通じませんでした。お互い違う国というか星の住人のようで、同じ言葉を話しているのにさっぱり言っていることがわからない、という感じでしたね。

話をややこしくしたのは、私は二人姉妹の姉だったこと・夫にはお兄さんがいたことで、それは私たちの別姓希望の理由にはまったく関係のない事実だったのですが、お互いの両親に理解できる理由として採用されてしまい、他の何を説明しても言い訳に聞こえてしまったようでした。

また、日本は欧米諸国に比べて法律婚の普及率がとても高い。実態がどうあれ、結婚というのは婚姻届を出すことで、他の方法というのは「真っ当でない」と評価されてしまう、ということを強く感じることになりました。私たちの感じとしては、結婚というのは事実関係なわけで、それを法律上の形式にするかどうかに過ぎない、言い換えればとどのように法律上保護してもらうかを考えて、届を出すかどうかを決めればよいと思うのですが(そして、その保護が強力なのでというか、法律婚でないとまったく顧みられないので、みな届を出すわけですが)、両親にとっては、婚姻届を出さずに結婚生活を送るのは法律に違反しているという感覚のようでした。

妥協案を採用

というすったもんだの末、合意事項としては、婚姻届は夫の姓で出す、私が旧姓を通称として使用するのは構わないということになりました。両親のイメージとしては、仕事をしているから仕方ないだろう、だったと思いますが、こちらとしては、仕事上に限定するつもりはありませんでした。

さらに言うと、だからといって婚姻証明書を持ってこいなどという話になったわけではありませんので、ぶっちゃけ言えば黙ってズルズル婚姻届を出さずに行けるところまで行けばいいだろうとも思っていました。実際、結婚式を挙げた日に婚姻届をを提出する夫婦は稀です。前後どちらかにずれているのが通常でしょう。これが大きくズレただけと考えればいいのでは?

結婚生活開始

ということで、無事に?結婚式を挙げ、新婚旅行にも行き、日常生活が始まりました。まだ婚姻届は出していません。ここで、次のハードルになったのは、当時、会社が支給していた配偶者手当でした。