天職の舞台裏

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天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

30代をどう走り抜けるか|活動と投資のバランス

30代の10年間は、体力・気力ともに充実しており、20代で積んだ土台の上に量質ともに密度の濃い経験を積み上げることができる、仕事上とても重要な活動期であることは、誰しも異論がないところだと思います。

一方で、キャリアアップを考えて、理論的なベースを固めておくために大学院へ進んだり、資格を取ったりする自分への投資に適した時期でもあります。20代での経験から、理論について時間をかけて学んでおきたい意欲が出てきますし、投資の回収を考えると、40代になってからこれをするのはやや遅い。

さらに、女性の場合には、30代は出産適齢期の後半にあたり、できればここまでに産んでおきたいという時期とも重なります。20代で産み終わっていればそこは考えなくても良いですが、代わりにワーキングマザーとしての制約の中でキャリアを考える必要がありますし、40代に先送りすれば、体力的な衰えと出産リスクが高くなることに向き合う必要が出てきます。

このように、種々の面から色々盛りだくさんになりがちで、できればしっかり考えて選択し、走り抜けたい10年間ではないかと思います。では、私自身の30代はどうだったのか。今から振り返るとどのように評価しているのか、考えてみたいと思います。

私の30代

これまでのキャリアを振り返ってみると、私の30代は、前半がカナダ在住時(31歳~36歳)、後半が特許事務所の前半(36歳~40歳)にあたります。

キャリアの点で、大きく言えば、前半のカナダ時代は自己投資の位置づけに、後半の特許事務所前期は仕事をインテンシブに行った活動期の位置づけになると思います。そして、前半は出産期でもありました。

自己投資の前半5年間

カナダに移住して5ヶ月で第1子を出産しており、出産までの間は、生活に慣れること、カナダで・英語での出産の準備をすることに費やしました。出産後、1年弱で保育ママに息子を預けて大学の生涯学習センターが運営する英語のコースに通学し始め、最上級レベルを卒業後、フランス語のコースも同じように取得しました。これらの学びは、生活のレベルを上げること、自分の今後のための語学力を上げておくこと、さらに、モントリオールの大学で法律を学ぶだけの力をつけておくことを目的とした自己投資でした。

法学部には、通常学生より受講数を減らしつつ、2年間通い、カナダの憲法、民法、刑法といった基礎的な講義から、ITや知的財産法も受講しています。直接卒業資格に結びついたわけではありませんが、法的な見方、それも、コモンローからの見方という点で現在の仕事上でも役に立っていると思います。

こうした直接の自己投資の他に、カナダで5年以上暮らした経験自体が、ものの見方の広がり、他人の考えや行動について考える際の想像力の向上に役立っていると思います。これも一種の自己投資と考えられるでしょう。

このように、充実した5年強を、投資に集中して過ごしたわけですが、いささか長すぎたかもしれません。在カナダ時代からぼつぼつ仕事はしていましたが、もう少し仕事の密度を並行して増やしておけば良かったと振り返ってみて思います。

修行の後半5年間

帰国してからの5年間は、以前のエントリの通り、修行色の強いものでした。ブランクが長かったこと、さらに、そのブランクの直前期の経験量が大した量ではなかったこと(権利化実務に移って1年程度だった)、技術的なバックグラウンドに欠けていたことから、自分の中で仕事のスタイルが確立するのに試行錯誤し、また、ほぼフルタイム体制を敷いていたとはいえ、子どもを抱えながら残業三昧というわけにはいかなかったこともあって、インテンシブに量をこなすことで質を上げる、というモードになるのにしばらく時間を要しました。

このため、この5年間を自分として「仕事に邁進した・凝縮した活動期」と位置づけるのは難しい。

とはいえ、この時期にみっちり出願明細書を書いたことが、現在の仕事のコアになって自分の仕事のやり方を支えているのは間違いありません。この経験があるからこそ、自社出願が適切な権利範囲をカバーできているかをチェックし、他社からのクレームの正当性を判断できる。

後知恵を承知で言えば、この5年間は、最初の3年でもっとブーストしてみっちり仕事モードにはいって同じだけの経験値を積み、次のステージに移るべきだったと思います。カナダ時代にその足がかりを作っておければ尚良かった。

結果としての周回遅れ感

この後も迷いの3年間を過ごしてようやく転職に漕ぎ着けたため、もちろん転職できて、その後思っていたような職種でマネジャーもできていることはラッキーではあるのですが、回りを見てみると、やはり5年程度の周回遅れ感はどうしても感じます。

もう一度30代をやり直すとして、そんなに周到に考えて、かつ、全力疾走できるのかどうかわかりませんが、後進の方々に、ひとつの事例として参考になれば幸いです。