天職の舞台裏

天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

外国の法・実務・裁判例を研究する意味

先日読んだ「民法研究ハンドブック」の中に、外国法分析の有用性、という項目の中に、以下のような記載がありました(P157)。

ある外国法と日本法を比較しても、制度の関連性は稀薄である場合も少なくない。しかし、このことは、その外国法の参照には意味がないということを意味するわけではない。外国法との比較をする場合、規範レベルでの比較ではなく、問題レベルでの比較も可能だからである。ある特定の問題についてある外国法が与えている解決は、日本法の解決とは異なる制度によるものであるとしても、いかなる解決が与えられているかという観点からは大いに参考になるのである。

先日、弁理士、弁護士、学者の先生方で構成される研究会を聴講していて、上記の記載を思い出したのですが、外国の裁判例を深く読み込んで研究するにしても、そこから日本の実務にどのような示唆が得られるか、その切り口・視点を日本の制度上へ持ってきたらどういう解釈が可能になるか、主張ができるか、といった視点になるのだな、と感じました。

考えてみれば、基本的には日本の法や実務の研究をされているわけであり、代理人として実務を行う場合も、研究対象国の事件の代理を直接するわけではありませんから、日本で実務を行うときにどのように使えるか、ということが直接の利益になりますし、そういう切り口からの読み方になるわけです。

翻って、我々企業内の実務家が研究というか読み込む場合は、自分がその国の同種案件の当事者になった場合の予測可能性を求めて読むのが第一となります。上記の視点とは、はっきり置き方が異なります。このため、その点だけを見れば、現地での研究の方が近く、参照することも多くあります。但し、海外企業ならではの問題点というか課題も当然ながらあります。そして、そこに焦点を当てる研究というのはあまり多くはなかったりします(当事者が少数ですから当然ですが)。似たような利害を抱えているのは知的財産協会に集まっている企業なので、そこでの研究テーマとなることはありますが。

なにかの結論があるわけではなく、立ち位置が異なることを承知の上で参考にしなくてはね、と改めて思ったという話でした。

民法研究ハンドブック

民法研究ハンドブック