天職の舞台裏

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天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

私的別姓ばなし その4|事実婚へ移行

ペーパー離婚・再婚という手段

参考書籍には、色々な別姓実践者の実例が載っていましたが、驚いたのは、必要に応じてペーパー離婚・再婚をしている人がいるということでした。基本は事実婚なのだけれど、家を買う局面などで夫婦であることの証明が住民票などで必要になった時には婚姻届を出して法律婚状態を作っておく、あるいは、逆に、普段は相手の姓で法律婚、自分は通称使用をしているけれど、自分の名前で住民票などの証明が必要になった時は、それに合わせて離婚届を出す、などの形です。

楽しくやろう夫婦別姓―これからの結婚必携

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  • 作者: 福島瑞穂,福沢恵子,榊原富士子
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 1989/10
  • メディア: 単行本
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確かに、自分の姓は変わらない、結婚で姓が統一されるのは制度に起因する便宜的な処理に過ぎない、と考えれば、便宜的に婚姻届や離婚届を出すことも有り、となるでしょう。最も多いのは、事実婚夫婦で子どもを嫡出子にするために出産の前に婚姻届を出して法律婚にしておく、という形のようでした。このために、ペーパー離婚・再婚・離婚を繰り返している方もいるようで、役所の窓口で同日に婚姻届と離婚届を出そうとしたらせめて翌日にしてくれと言われたなどという逸話がありました。

卒業申請の添付書類に住民票

さて、私自身の話に戻ります。結婚前から、大学(法学部)の通信課程を受講中でした。学士入学でしたが、働きながらスクーリングに出たり、卒論が必須だったりして、少し余分に時間がかかり、卒業までに3年かかりました。受講中に結婚し、卒業のときには法律婚の状態になっていました。

卒論も書き終わり、単位も揃って、さあ卒業という段階で、「卒業の申請」が必要であり、その申請には住民票の写しが必要ということが判明しました。単位が揃うだけでは自動的に卒業させてくれず、申請が改めているということにびっくり。前の大学を卒業した時は申請なんてした覚えがありません。逆に言うと、単位が揃っていたら卒業させられてしまうので、大学に留まりたい場合はうまく単位を不足させなくてはならなかったはず。これが大学ごとに違うのか国立大と私立大の違いなのかは分かりませんが、とにかく申請が必要で、さらに住民票の添付がいるというのが大問題でした。

法学部の卒業資格が具体的に必要になって通信課程を取っていたわけではありませんが、将来卒業証明書や成績証明書を発行してもらう必要が出てくるかもしれない。私はこの先も自分の姓を変えるつもりはないので、すると、今回ここで卒業資格を得るときの氏名と証明書の発行依頼人の姓が異なることになり、その同一性をこれまた証明する必要が出てきてややこしそう。あれ、でも入学の時は自分の姓だったのだからその紐付けは大学内でされるのだろうか?などと考えたりしました。

そういう実際的な理由はともかく、卒業証書に戸籍名が書かれること自体が許容しがたい。なにしろ私は自分の姓は唯一無二の生来の姓のみと思っているわけで、(別に夫の姓が嫌いと言うわけではありませんが)、便宜上戸籍に載っているだけの姓があたかも自分の姓であるかのように取り扱われることが嫌でした。この先二度と目にしないというこのであれば妥協の余地もあるのかもしれませんが、卒業証明・成績証明が必要になるときには目にすることが明らかで、それはそのたびにあまり気持ちが良くないことが想像されたのでした。

ペーパー離婚に踏み切る

しばらく迷って逡巡したものの、やはりここは戸籍名を戻すしかあるまい、という結論になり、ペーパー離婚することにしました。婚姻届を提出してから離婚届を提出するまでの期間は1年と4ヶ月でした。

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ここで『ペーパー離婚』と言っているのは、離婚届を出して法律婚を解消するけれども事実状態としての婚姻状態には変化がないためです。提出するのは通常の離婚届です。いまなら離婚届の写しをEvernoteに入れておくところですが、当時は自宅にFaxすらなかったので、コピーもとっておらず、記録が手元に残っていなくて記憶も曖昧なのが少々残念ですね。

婚姻届と同様、離婚届にも証人が2人要りますので、夫と私のそれぞれの友人1人ずつに自宅に来てもらい、離婚届の証人欄に署名してもらって離婚パーティーをやりました。めったにない経験だと大変面白がってもらった覚えがあります。ついでに、この先またなにかの理由で必要になったときのために、婚姻届も用意して、同様に署名もしてもらいました。(はずなのですが、結局使っていません。どうやら処分してしまったらしく、手元には残っていません。)

上述しましたように、参考書籍にある実例では、法律婚を基本にしており、生来の姓で証明書の必要なときにペーパー離婚し、証明書を取得して用が済んだらまたすぐに婚姻届を出す『ペーパー離再婚』をされている夫婦の例がありましたが、法律婚にしておきたい差し迫った必要も特になかったので、次に法律婚状態を示す必要が出てくるまで事実婚で行ってみることにしました。

事実婚へ移行

日常生活を送っている分には法律婚であろうと事実婚であろうとほとんど差がありません。過去のエントリでも書いたことがありますが、事実婚で法律婚と同様にできないのはお金の絡むところが多く、当時不便を感じたのは、クレジットカードの家族カードが作れない(のでポイントが合算されない)、生命保険の受取人になれない(保険会社によりますが)、くらいでした。配偶者控除が受けられない、法定相続人でないために相続の際の税金関係が不利、とかが大きいところなのでしょうが、さすがに相続の話は遠く感じられ、フルタイム共働きには配偶者控除は関係ないので、あまり不利益を感じることはありませんでした。

地味に不便だったのは、日常の事務手続が簡単に代理できないということでした。例えば、書留などの郵便物が不在で受け取れなかった場合、当時は再配達ではなく郵便局に取りに行くのがデフォルトだったと思いますが、住所が同じでも姓が異なると妻と思ってもらえないので代わりに受け取れない。銀行で窓口の手続をしようとしても、姓が異なるので『奥さんですね』とならず、委任状が要る、という具合です。住所と姓が同じ=配偶者=代理OKという構図ができあがっていて、そこから外れてしまう、という不便さでしたが、これは独身で暮らしていれば自分でやっている話なので不利益と言うほどでもありませんでした。

配偶者ビザ?

その後数年して夫に海外赴任の話が持ち上がり、思案の末同行することにしたのですが、そうすると就労ビザを持っている夫に付属する形でビザの発給を受ける必要があります。アメリカに赴任した知人のビザ手続の話を聞いたりして、これはさすがに戸籍や住民票が必要そう、と再び婚姻届を出すことを覚悟しました。