天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

把握の粒度

来期の事業計画・予算の審議が進行中です。

会社によってスケジュールは様々だと思いますが、中堅程度の規模の当社の場合、12月までの実績数値が配布され、1月〜3月の着地見込みを各部門で入力して今期実績の予測(着地見込み)を作成、それに基づいて振り返りを行い、来期の計画数値と活動計画につなげます(ちなみに中期経営計画は作成されていません)。

事業系では、販売チャネル別の総括・来期計画が11月の末にあり、商品別のそれが12月の末にあって、これらを下敷きに2月頭の総合計画と予算数字につながっていきます。

そんな流れの中で、大まかに活動計画の承認はなされていくのですが、細かい数字に落とし込みがされるのは最後の段階で、おおよそトップダウンで来る活動計画にボトムアップで数字を合わせ込んで作っていく流れになります。もちろん活動計画を細かいものにブレイクダウンしていきつつ数字を作っていくわけですが、目論んでいた結果が数値になって出てこないということもまま起こります。

特に、活動の方向性を従前から変更するときに起こりがちで、どれだけ実務レイヤーに方針が浸透しているかということにも関わるのでしょうが、前年と同様の数値でおいていく部分が多かったりすると方針と結果の数字にズレが起こってしまい、後から指摘されて結果の分析ならぬ計画の分析をする羽目になります。

来期の計画というのは基本は今期の実績をベースに立案しますので、今期の予算と実績の分析はそれなりに行うものの、ここ数年の推移であるとか10年前からの変化を押さえながら作っていたりはしません。上記のようなスケジュールの中、正直時間が限られているため、そこまで目配りしている余裕はないのだと思います。経費予算だけ持っている部門を見ていてもそう思うので、売上予算が必要な事業部門は尚更でしょう。予算のフォーマットもそんな作りにはなっていないので、気がついた人が気がついたベースで振り返るだけになりがちです。

細かな数字を作って集計しているのは審議の場に出ているメンバーよりも下位の実務レイヤーの人たちで(課長クラスが中心となります)、役員や部長クラスは数値作成のロジックを承知していて集計結果に違和感がないかを見ているようです。ただ、活動方針を転換する局面では、この違和感がストレートには出てこないので、割としっかり分析をしてどこかにロジックの矛盾がないかを検証し、数字の正しさを見ていく必要があります。

で、当期来期はそういう局面に当たっているようで、その数字はおかしいだろう、という指摘が相次ぎ、細かいところまでツッコミが入り、「確認して修正します」が相次いで、「それではこの場で承認ができないだろう」と怒られる、というシーンが何度か見られました。

身も蓋もなく言えば、前年踏襲でやっていては見るべきところが見えていないことになるので指摘された時に分析やロジックで返すことができないということなのだろうと思いますが、そこまでしっかり見て合わせ込んで数字に矛盾がないように作り込むにはこのスケジュールじゃ日数が足らないんじゃないのかしら、などと側で見て思ったりしました。大変そう。

目の前で展開するあれこれが、ああそういう組み立てだったのか、これ、というものが多くて、会議を傍聴している立場としては事業環境とか商習慣が分かってありがたいところはありましたが、責め立てられている方は大変だろうな。

毎年バージョンアップしているような印象ですが、今年もまたそんな感じで過ぎていっております。漫然としていないのは結構なことですが、こういうのって、トップダウンで指示が飛ばないと自ら脱皮するのはまた難しいのだろうな、という気も一方でいたしました。