天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

どの仕事にいつ着手するのか

2014年の5月に配下の部署に新入社員が配属になりました。事務系の一般職で、法務のバックヤードを引き受けてもらうことになります。時々契約書の検討もしてもらいます。

初めての人にどのように仕事を配分するかというのは中々難しく、1つずつ与えてそれが出来上がったら次に進めるのなら割と単純なのですが、与える側がいつも隣にいるならともかく、そうもいかない(会議もあるし出張もある)と、いくつかの仕事を並行して与えて手待ち時間が出ないようにせざるを得ません。

また、仕事は人の出入りに関わらず流れているものなので、発生した仕事の中でその人に担当してもらうことに(ゆくゆく)なるだろうタイプのものは、少しずつ与えていくことになり、場合によっては発生が集中することもあります。

ということで、一応それなりに気を使って仕事をお願いしていたのですが、なにしろこちらも新入社員を受け入れるのは久しぶりで手探り感があります。もちろん受ける側は少し前まで大学生だったわけで、納期の決まった仕事を並行してするのはおそらく初めてでしょう。依頼を受けたときに反射的にその仕事に着手する、すると前にやりかけていた仕事の進捗が分からなくなる、ということが何回か発生して途方に暮れたらしく、

これって、どうやってやればいいんでしょう??

となりました。私が一つ一つ順序を指定して納期を調整してもよいのですが、それではいつまでもそうしなくてはならなくなります。第一彼女にそれぞれの仕事がどのくらいの時間で完成できるのか(できないのか)も分かりません。そこで、助言として3つ行いました。

  1. 今後仕事を進めていく上では、その仕事にかかる時間を自分で見積もれるようになる必要があること。そのための材料を揃えるために、仕事を始めるとき、終わった時に時間を記録するとよい。⇒TaskChute(無料版)をお勧めしました。

  2. 今後も同種の仕事が繰り返し発生する可能性が高いので、自分なりにマニュアルを作ること。その際に、気づいたことも書きとめておき、次にするときには記憶に頼らないでマニュアルを見ながら実行し、マニュアルのバージョンアップも図ること。

  3. 仕事を依頼されたときには必ず納期を確認すること。そして、今すぐ至急と指定されたもの以外は反射的にその仕事に着手するのではなく、いったんやることリストに追加して、時間を取って計画を立てること。⇒「マニャーナの法則」(旧版)をお勧めしました。

会社の仕事に裁量があるかどうかという話がよくありますが、事業内容や職種が異なっても会社の事務仕事というのは似たり寄ったりと思います。完全にルーティンの繰り返しであるタイプの業務担当でなければ、複数の仕事を異なる納期で手元に抱えており、1日のうちに何をどう進めるかは担当者の裁量で決めることができることが多いように思います。

各仕事の納期は依頼側に指定されることが多いのですが、明示的に言われない場合も多く、なのに暗黙のうちにすぐやることを期待されていたり、電話や面前で指示されるとその場ですぐ着手しなければいけないような気分になったりすることが多いのではと思います。実際には今すぐ至急でやらなければいけない仕事なんてほとんどないにもかかわらず。

「マニャーナの法則」は、こうした点をつまびらかにしてくれる良書です。放っておくと、人は、その場で反応的に(衝動的に)着手したくなるものである、ということは、なかなか自ら気がつくことができず、いつまでもそのような仕事の仕方をしてちっとも効率が上がらない、あげく納期を遅延して迷惑をかけたり評価を下げたりしがちです。

その一点だけでも読む価値がある本だと思いますし、その他の点についても、ある程度の裁量を持ち、自分で納期と着手のコントロールをしなければいけない全ての事務職にお勧めです。