天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

アウトライナーで判決文を読む

裁判例を題材にした研究会に出席したり、新しく出された判決の中で興味を持って読みたくなったりなど、月に複数件の判決文を読むのが定常です。

知財関係の判決文は、ほとんどが裁判所のHPに公開されていますので、PDFでダウンロードして読むことができます。

勤務先では、法務と共同でWestLaw JAPANを入れているので、こちらで検索をかけることも多いです。こちらの場合、PDFでも、Word形式でもダウンロードができます。関連判決へのリンクや参照条文の摘示、評釈への紹介も掲載されていますので、普段はこちらを使うことが多いですね。

go.westlawjapan.com

これまで判決を読むときは、先ごろ書いたエントリのように読んでいました。特に明記しませんでしたが、印刷して、書き込みをしながら、そして、行きつ戻りつしながら読むのが前提になっていました。そして、それでも、読んでいるうちに見失うことも多かったのです。現在なにを読んでいるのか、さっき読んだのはなんだったのか。裁判所の判断部を読んでいて、これについて当事者はどう言っていたのだ?となること、などです。

backstage.senri4000.com

「アウトライン・プロセッシング入門」を読んだところ、読み込むのにもアウトライナーが使えるとありましたので、早速試してみることにしました。

アウトライナーに判決文を入れる

「アウトライン・プロセッシング入門」にも書かれていましたが、アウトライナー読みの一番のハードルは、アウトライナーに対象文書をどうやって持ってくるかです。

判決文は公開されていてダウンロードできますし、保護もかかっていないので、コピーすれば持ってくることができます。なので、紙の書籍を持ってくるよりはずいぶんハードルは低くなります。とはいえ、そのままPDFからコピーすると、いちいち改行コードが入ってしまいます。また、なぜか、(1)や(ア)などに機種依存文字が使われている場合があるようで、化けてしまうことがあります。Acrobatの書き出し機能を使ってWordに書き出しても、改ページは入ります。機種依存文字が化けるのも解消されません。その他のツールは試していないので不明です。

いずれにしても、余分なコードは置換機能を使ってあらかじめ削除しておいたほうが良いでしょうし、化けたところは読みながら原文を当たる必要が残ります。

私自身は、WestLawからWord形式でダウンロードしたものを使っています。こちらを使えば、改行・改ページコード、文字化け問題はありません。

WorkFlowyよりWordが使いやすい

その判決文を読む、という目的で見ると、Wordに書き出したものをそのままWordのアウトライン機能を使って読むのが手間がかからず、読むのに集中できます。

当初、Wordの機能がよくわかっていなくて、とりあえず全文WorkFlowyに貼り付けて加工していたのですが、判決文の作りが、インデントをスペースで入れていたり、そのスペースが全角と半角と混ざっていたり、行頭番号を使いながら見出しでなかったり(そのまま文章が続く)、など、色々スタイル上の問題で、レベルの自動判定が難しいらしく、トピックの入れ子構造が滅茶苦茶になるという結果になりました。

その上、WorkFlowyの仕様により、トピックのレベルの上下動が制限されています(この点については、下記の彩郎さんの丁寧な説明エントリがわかりやすいです)ので、修正が面倒です。まあ、これをやりながら結局中身を読んでしまうので、修正作業をすると同時に読み終わって理解も完了はするんですが、余分な作業負荷がかかることに違いありません。

www.tjsg-kokoro.com

Wordのアウトラインモードで読み下す

るう(@ruu_embo)さんにTwitterで教えてもらったのですが、Wordでは、WorkFlowyのような仕様上の制限がなく、レベルの上下動は自由、レベルのスキップも自由にできます。そこで、一旦、全文を選択して、すべての段落をレベル3に設定します。

その上で、上から読んでいき、レベルを上下に動かして、適切なレベルに設定していきます。ついでに、ダラダラ長い(失礼)判決文に、適当に改行を入れ、仮見出しを付けて読み下して行きます。

ここでは、文章全てを見出し扱いにして、本文レベルは使いません。構造のボトムレベルが上からいくつ目になるかがまちまちなので、本文レベルを使うと、アウトラインモードから出た時に浮いてしまって見にくくなり、取り扱いがしにくいためです(あまり印刷レイアウトモードにすることもないのですが、うっかりそちらを見てしまうとスタイルがとても気になってしまう)。

本文を使っても使わなくても、特に取り扱い上の相違はなく、不都合はありません。また、レベル9までありますので、レベルが足りなくなることもありません。判決文を読んでいて使うのは、せいぜいレベル6か7までです。

このようにして、レベル設定をしながら最後まで読んでいくと、大体の内容が理解できます。単純にそのまま印刷して読むよりも、構造が頭に入るためか、格段に理解が進みます。裁判所の判断部分から、同じ項目についての当事者の主張部分に返って読むのも非常に簡単なので、読み進めつつ、行きつ戻りつしますから、余計に理解が進むのかもしれません。

このようにして読むときは、すべて画面上で操作しているだけで、印刷はしていません。行きつ戻りつができることが重要なので、印刷するとそのメリットが出ないためです。とはいえ、全体を印刷した状態で見たいこともあり、現段階ではまだ原文をそのまま印刷したものも手元に置いていることが多いです。

参照しつつ引用する場合

読んで理解する目的は達成しましたので、この後は、判決文を何に使うのかによって利用法が変わってきます。発表資料を作ったり、紹介文を書いたりするのであれば、その作業に入ります。単に理解するのが目的であればこれで終了です。

資料を作る、紹介を書くときには、判決の原文をそのまま引用する必要がしばしばあります。このときには、アウトラインになっているものからコピペすると、自分の理解のために切り刻まれた結果になっていて原文と違っていたりしますので、きちんと原文に当たって正しく引用するように注意しなくてはなりません。

この引用のために、文章に変更を加える前に、アウトラインを原文に忠実に起こした状態でいったん保存しておいた方がよいのか、必要になった時に原文にあたれば済むのかはまだ決めかねています。

結果を持ち歩く

読み下した結果を持ち歩きたいときには、WorkFlowyに書き出しておいた方が便利です。というのも、私は普段iPad miniしか持ち歩かず、iOS版のWordにはアウトラインモードがないためです。研究会などで判決文に当たりたいときには、原文でなく、自分で読み下したアウトラインの方が見たい個所にすぐ辿り着けて便利なので、この状態を持ち歩くことにしています。

そこで、いつものことながら、マロ。さんの、ハサミスクリプトにお世話になります。ワードのマクロでMSWord2WFを実行し、opml形式に変換されたものをWorkFlowyにペーストします。

https://note.mu/maro_draft/n/n37fcafa7ef1bnote.mu 

ここで要注意なのは、Wordの自由さのために、レベルが飛んでいる(例:レベル3の直下にレベル5が来ている)ままでマクロを実行すると、WF側で正しいopmlと認識してくれず、インポートされないということです。最初何度やってもopmlタグが入ったテキストの状態でペーストされてしまい悪戦苦闘したのですが、気がつかないところにレベルのスキップが存在していたせいでした。

以上が現時点での判決文の読み方です。他にも、報告書や論文などをアウトライナーで読んでいるのですが、まだ読み方が固まっていないので、もう少し定着してきたら、そちらも書いてみたいと思います。