天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

会社との距離感

石倉秀明さんの「会社には行かない」の中に、「それぞれの『会社との距離感』を認める」という節があります。

会社には多様な価値観の人材が集まっていて、会社との付き合い方も人それぞれ。その前提に立てば、「会社との距離感が遠い人」も認めざるを得なくなります。

もともと、社内イベントに強制的に参加させられるのは嫌だと考えている人が、一定数いたのでしょう。今はそうした人たちの声が、インターネットやSNSによって見えやすくなっただけだと思っています。

石倉さんご自身も「会社との距離感が遠い人材」だったとのことで、リクルートグループ時代は表彰の登壇が嫌だったとか、キックオフミーティングの後で飲み会に行って盛り上がるメンバーから隠れるように帰っていたというエピソードが書かれています。

また、同書の「『理念への共感』はいらない」という節には、こんなことも書かれています。

理念は重要ですが、「理念に共感している人しか、その会社にいてはいけない」わけではない。

そもそも、理念とは何のためにあるのか。
経営者や役員が意思決定をする際に、決定する指針になったり軸としてブレないようにするためには必要です。

このように書いてあるとひどく安心します(苦笑)。

私自身もずっと「会社との距離感が遠い」人で、求心力を高めるために会社がやっている活動が苦痛でたまらず、なんとかしてすっぽかせないか常に考えてきたし、実際にしばしばすっぽかしてきました。

なんでこんなことを強要するんだろう、みんな嫌にならないんだろうか、これをやらないと会社としてまずいことが起こるんだろうか?などもよく考えました(最近は諦めて考えなくなってますが)。

こうしたある種の価値観の強要は、(大きな)組織にはつきものであり、それが嫌なら辞めればよいという考え方もあるのでしょうし、だから独立しているというフリーランスや士業の方もよく聞きます。

でも私はやっぱり組織の中にいたい。だから初職を去って12年してから、そして特許事務所に6年くらいいてこうしたこととはほぼ無縁に過ごしていたのに、自ら求めてまた会社組織に舞い戻ってきたのです。

私がなぜ(この)会社にいるのか。

外部人材として関わるよりも会社の中の人であった方が「当事者」として関わることができ、その方が私にとっては断然面白いから。加えて、ここには解決すべき問題や、整理すべき混沌がたっぷりあって、それを捌いていくのが面白いから。

会社が従業員に対する姿勢は受け入れがたいところがまま(結構多く)あるけれど、上記の「いる理由」と天秤にかけて傾くほど耐え難くはないから(多分)。そして、それなりにポジションが上がって自分のできることが広がった結果、これらを変えていくように働きかける機会も増えたし、自分の権限が及ぶ範囲の中でなら、役割を果たすことだけを求めるやり方が可能になっているから。

人が会社にいる理由は人それぞれだと本当に思うので、その中で苦痛なく役割が果たせるように環境を整え、声を上げやすくして行きたいよな、と。

そして願わくば、もう少し私自身の声も上げることで会社全体にそうした環境が広げられるといいな、と。