天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

お疲れ様会

12月に引き続き、1月も宴会系が続きます。そういう意味では戻った感強くありますね。

本日は、知財で6年間お世話になった方のお疲れ様会で、知財部門メンバー勢揃いの中呼んでもらい、豆腐・湯葉料理でした。法務より知財のメンバーとよく会ってるな(懇親会系多いな)とか思いつつ、おしゃべりを楽しんできました。

さて、本日の主役の方について、過去のブログを読み返してみたのですが、全く触れた記事がなさそうなので、振り返りを書いてみたいと思います。

現在の勤務先に入社してから今年の3月で丸16年が経過します。当初は知財職、しかも紛争専門のようなものでしたが、後に法務部門と統合されて法務部長になり、2021年には知財の方を切り離し、私自身もラインから外れてイマココです。(下記を引用して思いましたが、キャリアの棚卸し記事をアップデートした方がいいですねぇ。。)

backstage.senri4000.com

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で、知財部門の話に戻すと、当社は事業規模の割に事業領域の事情により紛争が多く、ことに米国でのNPE訴訟の盛り上がりに初期からがっつり巻き込まれた経緯があって、知財の担当者には妙に紛争に対する知見と耐性が求められます。これはもう環境として仕方がないところ。一方で、事業の内情とか会社の規模とかを反映して、研究開発が盛んというわけではないので、発明がじゃんじゃか出てくるわけでもない。試しに発掘活動や創発活動もやってみたことはありますが、事業に直結しないものは続かないという結論になっています。

平常モードになると、そうそう発明が頻繁に出てくるわけではないので、発明者も開発部門も慣れておらず、開発プロセスにおいてきちんと調査がされ、発明に該当しそうなら届を出し、出願に持っていくところまで手厚目にケアが必要になります。このあたりはプロセスを標準化したり、開発部門とのコミュニケーション密度をあげたりして仕組み上の工夫はあれこれしてきており、それなりに昔よりは手作り感は減っていますが、発明が常態として開発者の側にリテラシーがある・求められる大手企業とは知財側の負荷という面でかなり異なると思います。

そんな当社知財部門に新入社員を配属して一から育てる余裕はなく、社内異動者と中途採用者で構成されています(まあこれは知財に限らず管理部門はどこもそんな感じではありますが)。

社内異動では、できれば開発経験のある人材を求めたいわけですが、会社としては一線級を開発から抜くメリットはありませんから、本人が強く希望するとか、事業戦略の変更でこれまでの経験が開発では活かせなくなったとか、定年近くなって開発の前線からは退くとか、といった人材になりがちで、そんな人はそうそう豊富にいるわけではありません。そして、来てもらったら、知財知識は一から身につけてもらう必要がありますので、それはそれで本人も部門も割と大変。

一方で、中途採用になると、いろいろな事情で他社での知財経験者が応募してきてくれます。一番大きな理由は、大きめの会社で知財をやってきたけど縦割りで経験できる分野が少ないので他社に移ってもっと他のことをやってみたい(紛争含む)、というものです。もちろん知財の知識はあるわけですが、いろいろやってみたい、が志望理由なので、そこは当社の求める仕事にマッチするのかどうかはやってみないと分からない。紛争の経験者なんて母数が非常に少ないので、求めても得られない(し、大抵は大手が必要としているので、当社レベルでは処遇条件で負けます)。

そんな中で、ポテンシャルに賭けて中途採用するわけですが、賭けに負けることも多くありまして、想定と違ったという理由での退職も多く経験しています。よく言われるのが

そこまで知財でするんですか?それは開発の仕事だと思います。

で、いやそれって企業毎に違うから。回るように回さないと仕方ないでしょう、とこちらは思うのですが、「そんなことまでしたくない」と言われてしまうと、強要するのは無理ですし。

前置きが長くなりましたが、てな感じで、中途採用と退職を繰り返していた数年の中、近隣大手企業の知財部長を定年退職された方を縁をたどって紹介いただき、週に1回来社してもらっての業務をお願いすることになりました。弁理士資格保有者なので、その他の日は特許事務所で弁理士業務をされ、1日を当社にきてもらう形で、当社とは契約社員の契約として、入館や各種のDBにもフルアクセスを確保しました。これが6年前のことでした。後半の3年はコロナ下であったため、リモートワーク環境にも入ってもらい、同じようにチャットツールやVPNを使っての家からの勤務にも対応してもらいました。出社制限が緩んでからは、オフィスに戻して対面の相談を中心にしておりました。

事業分野は違えど紛争経験も豊富な会社の方で、部長経験者ですから組織運営や人材育成的な相談にも乗ってもらえる、弁理士ですから分析を踏まえた教育もお願いできる、ということで、大変お世話になりました。当社の事業分野に関する技術の勉強に対する熱意に当初圧倒された覚えがあります。同分野の他社の裁判例なども分析していただくにあたり、基礎知識が必要だから、ということで、教科書的なものから規格書まで手を伸ばして勉強されていました。同じ立場になったらここまでできるかしら?などと側で見ていて思った記憶があります。非常に勉強熱心な方です。

人柄的にも、あたりが柔らかく、若手にも人気でした。

契約社員を継続していたところ、社内規程で65歳までしか契約更新できないと言われて焦りまして、さらに1年は業務委託の形に変更して継続していただきまして、その間になんとか自前でできるように勤めてきたこの1年でした(って、私は直接なんにもやってないんですけども)。今後は、スポットでのご相談や出願の依頼などを考えているようです。内情理解いただいているので話が早いですもんね。

なにしろ、一区切りということで、お疲れさまでした、ありがとうございました!の会だったのでした。