天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

定時株主総会準備2023

4月のまとめを書いていて、あれ?今年の状況について4月には何にも書いてないぞ、と思い至り、遅まきながら振り返りエントリを書くことにしました(月のまとめの1項目にするには長すぎた)。

さて、3月決算会社の4月は決算月、総会運営担当にとっては招集通知(参考書類・事業報告・計算書類・連結計算書類から成る。後半2つは経理マター)の作成月です。

そして、招集通知については、一昨年書いた記事で、以下の1〜3に分けられると書いていて(さらに4〜6がそこに乗っかる)、昨年はこの3つを概ね部下に任せて回るようになってきた、と言っております。

  1. 2月3月あたりから情報が見えてくる参考書類の作成
  2. 決算の進行とともに情報が揃ってきて数字が固まると一気に詰める必要がある計算書類等の作成(→監査役へ)
  3. 図表や任意記載を整えて招集通知の形にする
  4. 事業報告のスライド作成
  5. 議長シナリオ作成
  6. 招集取締役会準備

機関設計の変更

今年は監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に機関設計を変更する予定で、もちろん法定された電子提供措置の初年度でもあります。昨年から始めると言っていてやれなかった配当支払いの前倒しも今年こそやります、という状況です。一方で、参加型のバーチャル総会は今年も見送りました(新しいことは1年に1つずつの原則を破って3つもやるのでもうこれ以上はお腹いっぱい。。)。

機関設計の変更は、自ら提案したようなものなのですが、だからと言ってやるべきことの全容がわかっているわけでも準備万端整っているわけでもなく、証券代行がコンサルしてくれるというのに乗っかって、なんとか進めているところです。

やりますよ〜の取締役会決議をしてその旨の開示をし、わかってはいたけど大量の株主総会上程議案にげっそりしつつ準備をし、監査等委員に横滑りされる予定の常勤監査役から監査部がもっとしっかりしてくれないと立ち行かないから!とお叱りを受けつつ、この場合どうなるんだっけ?と持ち込まれる質問に(コンサルにそのまま投げたりもしつつも)回答し、でイマココです。

とりあえず、総会前の準備はだいぶめどがついてきたように思いますが、総会後にきっちりスタートできるための準備までまだ行き着けておらず、大丈夫か?とか不安になりつつあるところ。どうしようあと2ヶ月切ってしまったよ〜、です。

なにしろ新しい試みですから、担当部門があるわけでもなく、法令に沿って適切に進める必要があることから結局法務で引き取らざるを得ないのですが、なにしろ通常の総会準備で手一杯(おまけに子会社含めて登記もありますし)、結局ほぼ一人で手を動かしている状況なのでした。嫌いじゃないけど終わるのか不安、ってことでございます。はい。

電子提供措置に伴い

3月総会会社から適用開始になった電子提供措置ですが、株主さんにどの程度印刷した書面をお送りするか、各社の検討事項となっており、法定されている最低限で済ませるか(アクセス通知)、任意の情報を添えるか(議決権を行使してもらいやすくする効果を狙う)となっています。

3月総会会社は、初めてだったということもあってか、かなり保守的に対応されたようで、半数以上の会社が従来通りの招集通知を送られたとのこと(フルセット・デリバリー)。びっくりです。株主側が印刷物を送ってくれ!という書面交付請求しなくても送られてきてしまうってことですね。

さて6月総会はどうなるでしょうか。3月総会の状況を見て検討されている会社も多いと思うので、フルセットがやっぱり大勢を占めるのかなぁなどと予想しております。電子提供措置でどうなるのか、なんて、個々の株主さんがきっちり把握されているとは限らないので、わざわざURLを見にきてくれるのか、とか、そのせいで(面倒だから)議決権の行使比率が落ちたら困る、という懸念もあります。

とはいえ、コロナ下での株主総会もすでに3回やっております。来場を自粛して事前の議決権行使を推奨してきている中、スマホで行使ができるシステムを採用した会社が増加、特に個人株主は書面(郵送)での行使より簡単な電子行使を好まれるらしく、比率が逆転したという話もあります。個人株主は高齢者が多いという話もありますが、アクティブ高齢者層はスマホも使われる層だと思いますし。

で、当社はどうするか。これはもう電子提供措置の話が聞こえてきた当初から決めて変えておりませんで、法定最低限のアクセス通知のみで行く予定。印刷の最低ページ数である見開き4ページに収めたいわけですが、電子提供措置事項が記載内容として増えてしまい(URL書かないといけない)、おまけに上記の機関設計変更のせいで議案数が8もあるので招集通知自体のボリュームが膨らんで1ページに収まらない中、議決権行使案内をコンパクトにするのに頑張ってる。。。

一方で、これまで印刷のページ数を気にしてインターネット開示事項を増減させてきたのですが、この観点が不要になったので、事業報告から抜き出すのをやめまして、おかげで監査役に提出する書類との差異がなくなって分かりやすくなりました。もういっそのこと全部一書類にしてしまおうかとも思ったのですが、それでは経理部門が泣きそうだと思って注記他は従来通りとしましたが。

ひたすら読合せ

例年、5月に入ると関係者を広く集めてその時点で出来上がっている招集通知原稿の全体読合せを行います。ここまでの間で作成している内部では確認チェックをしているのですが、どうもそれだけだと不備が多いんですよね。昨年それを深く反省?しまして、今年は、作成段階から内部読合せを、根拠資料と左右に並べて画面共有する形で行うことにしました。

読み合わせているだけだと、日本語が変かどうかは分かりますが、これで正しいのかどうかまで分からないので、なぜこの文章になっているのか、なぜこの数字なのかまでとことん追い詰めて、ひたすら確認しました。

特に参考書類(議案)は、数も多く、機関設計変更周りはやったことがない種類のものも多いため、「作成の手引き」から持ってきました、とか、この会社のこれを参考にしました、とか多くて、議論しつつ、1時間程度の読合せを5回やりましたよ。。。

作成者がアップロードして、その他の人が各自で確認するよりも、集合して読み合わせて議論しつつ確認した方が見落としが少なく、かつ、経験が少ない担当へのインプット・気づきに繋がりやすいという効果もあり、大変ですが行って良かったと思っています。4月に入ってからやっていたのですが、特に参考書類は決算に関係ないものが多いので、来年はもう少し前倒ししたいものだな、とか考えております。

ということで、例年通り、4月末には監査役に決算報告書(事業報告と計算書類・連結計算書類)を提供することができ、さらに監査役会での審議用に参考書類も提供してGWに突入したのでした。以前より監査のためには印刷書面で欲しいという要望があり、リモートになっている近年は印刷して郵送しています。これも、昨年までは自分でオフィスに行って印刷したり指示をしたりしていたのですが、今年はリモートで指示するだけで回るようになり、助かりました。

5月に入り、全体の読合せを行ったところ、上記の理由で散々内部チェックかけたので相当大丈夫と思っていたのですが、やっぱり数箇所の指摘があり(おまけに自分で不備に気づいたりもして残念感あり)、そして参考書類だけで30ページにもなっている関係で2時間の読合せでは全然終わらず、2回目をGW明けに予定しているのでした。

まあこんな渦中ですが、去年から担当に加わってもらったメンバー、今年からやってもらっているメンバーも、あれこれ乗り越えて進めており、一通り終わったらきっとかなり力がつくだろうな〜と思って見ているところです。関係事項が多くて思わぬところで躓くので、目配りする力、調整する力が爆あがりするんですよね。これ。楽しみだ。