天職の舞台裏

天職と思って日々仕事をしてますが、その舞台裏で色々考えていること、あるいは水面下でジタバタしてることを書いています。

組織として仕事をする

管理部門には上からミッションが降りてこないので自分で考えるしかない、などという話を以前書きました。

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この記事の最後に、

自分で目標を作れるようになるためには、その部門の業務内容(今やっている業務)、その部門が果たすべき業務がはっきりわかっている必要があり、また、会社の置かれている状況とか、社会的に求められていることとかも全体環境としてわかっている必要があることで、杓子定規に設定しても最適解にはならないし、変に迎合していては危ない

と書いており、監査部については、

内部監査部門の業容把握と本来あるべき姿の設定にすごく時間がかかってしまった(土地勘がないところにうまいインプットの方法が見つけられなくて)反省

と言っております。全くです。反省ばっかりしているこの1年。。。

この1年で何を達成しようとしているかを一言でいえば、「組織として仕事をする」部門に変えようとしている、ということになると思います。これは企業という組織体で仕事をする以上言わずもがなの大前提だと思うのですが、そのように明示的に指導されないものでもあり、自覚を持っている人は案外少ないのかもしれません。

監査部の事情を言えば、おそらくは何をすべき部門であるかがマネジメント層に十分に理解されていないために、社内の人事異動の都合で人の出入りが頻繁であり、経験者を外部から採用しても定着しないという悩みがあります。このため、上場会社で金商法の内部統制部門を兼ね、独立的評価を行う機能を持っているにも関わらず、2名体制で回していたこともあります。監査法人や監査役はその状況が見えるので、人員の増強を執行側に要望し続けているものの、前述のように必要性の理解ができていないため後回しになりがちでした。

私が監査部長を拝命したのは2021年の4月で、当時その理由をしっかり聞かなかったので改めて今年になって聞いてみたら「他に人がいなかった」という身も蓋もない答えが返って来たりしたのですが、これも上司側できっちり言語化されていなかったものの、私に任せることで、組織としてきちんと機能する部門にして欲しいという要請だったのではないかと思います。

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さて、これまでの監査部の仕事の方法を一言でいえば、「前年踏襲」です。金商法の対象部門についてはリスクコントロールマトリックス(RCM)ベースで、そうでない部門については業務分掌ベースでチェックリストが(なぜかパワーポイントで)作成されており、毎年毎年それに沿って対象部門でセルフチェックを実施してもらい、それを証憑とともに収集して評価する。組織変更に合わせてこのチェックリストを見直す(分けたり統合したり)ことはあるものの、基本はひたすら前年踏襲で実行しているようでした。

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去年もやっているから今年もやる。なぜやるの?やり方は正しいの?見直す必要はないの?という疑問を持たないのか?という気はするのですが、書類仕事としてはかなり膨大でもあるため、監査の時期に入ると見直している余裕がなく、結局前年通りでやらざるを得ない、というスパイラルに入っているようでした。

また、結局前年踏襲なので、昨年のチェックリストや証憑をベースに今年も行うことになり、担当者が変わっても同じようになぞってやれば表面的にはできてしまいます。それでどれだけの意味がある監査ができていたのかは、やっていることにその担当が自分でどれだけ考えるかに左右されてしまい、ばらつきが大きい。それっぽいアウトプットは出てくるものの、インタビューを陪席して聞いてみると、いやそれはここで聞く話か?というものが担当によっては頻発したり、形だけ作っているようにも見えました。

意味のあるアウトプットを作ることって、他分野であっても会社での仕事経験が長くてそれなりの成果・実績を出してきた人であれば、「意義のあるアウトプットを出せ」といえばそれなりに出せるようになります。が、それはやっぱり人に依って仕事をしている。勘が良くない人だったり、異分野経験を自分の中で横展開するスキルがさほど高くなかったりすると、言われても「それって具体的にどういうこと?」が自明でないので、掛け声だけでは成果につながって来ません。

すると、誰もが一定の枠組みの中で、言語化されているものを拠り所として仕事をすることで、一定の品質のアウトプットが出せるようにする必要があります。それがすなわち組織として仕事をするということになると思うのです。

誰もが一人で監査するからチーム制に体制を変え、標準化のためのマニュアルを作り、規程を改定する。上からミッションやすべきことを落とすのも試みるけど、実際今やっていることは、整理すると何をやっていることになるの?というトップダウンとボトムアップの両方を詰めていく。究極的には、「内部監査とは何か」が共通認識としてあり、なんとなくではなくて目的がはっきり全員に理解できている。迷った時には戻れるところ=言語化され、記述されたものがある。そのために実行することのスケジュールが立てられ、守られるけれど、必要に応じて見直しもできる。

やっていることがどういうことなのか、何のためにやっているのか、それはなぜ必要なのか、他のやり方はあるのかないのか、あるとしたら今選び取っている理由は何か。全員が全てに即答できる必要まではないでしょうが、整理されているものを見ていけば答えが見つかるようにはなっていたい。それが組織として機能するために必要なことだろうと思います。そこがぐらつかなければ、人の異動を求められた時に機能を整理して絞り込んだり拡張したりすることも容易にできるはず。

というところを目指して動かしていますが、いやはや時間がかかります。3月までに基本的なところは完成すると思いますが、諦めて来期以降に回した大きな塊も2つ3つあるんだよね。。